Cognex VisionPro Deep Learning™ とは

Cognex® VisionPro Deep Learning ソフトウェアには一連のマシンビジョンツールが用意され、ディープラーニングを通じてプログラミングが困難なさまざまな課題を解決します。包括的なマシンビジョンツールライブラリと、共通の開発および展開フレームワーク内の高度な Deep Learning ツールを組み合わせています。そのため、可変性の高いビジョンアプリケーションの開発が簡素化されます。VisionPro Deep Learning ソフトウェアは、スタンドアロン GUI (Cognex Deep Learning Studio) として提供されますが、アプリケーション開発のための API (C++/C#) もサポートしています。ディープラーニング技術では人間の知能をまねたニューラルネットワークを使用して、異常、部品、および文字を区別し、複雑なパターンにおける自然なばらつきを許容します。ディープラーニングは、見た目がとても似ている部品のばらつきや偏差の評価に四苦八苦している従来のマシンビジョンアプローチよりも優れています。

 

VisionPro Deep Learning: 最高のパフォーマンスを実現する専門メカニック

 

VisionPro Deep Learning は、VisionPro ViDi™ の直接の後継です。VisionPro Deep Learning の最初のリリースでは、既存の ViDi 分類ツールに新しい「High Detail」モードが追加されています。これは現在「フォーカス」モードと呼ばれます。High Detail モードは、もともと SuaKIT™ 製品の一部として開発されました。VisionPro Deep Learning は、API、プロジェクトの読み込み、セキュリティドングルなどのVisionPro ViDi と互換性があります。Cognex Designer® のサポートにいくつかの変更が加えられました。詳細については、「Cognex VisionPro との統合」のトピックを参照してください。SuaKIT ユーザは、SuaKIT 分類プロジェクトとセグメンテーションプロジェクトを VisionPro Deep Learning にインポートできます。ユーザは、位置決め (青) ツール、OCR ツール、ツールチェーンなど、Cognex Deep Learning Studio の他の機能を利用できます。

High Detail モードは困難なアプリケーションの広い範囲で非常に正確な結果を提供する一方、フォーカスモードは通常、学習と実行を高速で行います。VisionPro Deep Learning の最新のリリースでは、「High Detail Quick」という新しいモードが追加され、High Detail モードの利点を備えたまま、High Detail よりもはるかに速い学習速度を提供します。ユーザは、画像のラベルを変更せずにモードを切り替えることができます。これにより、特定のアプリケーションに最適な精度と速度の組み合わせを提供するモードを簡単に判断できます。

 

VisionPro Deep Learning が優れている理由

VisionPro Deep Learning の優れたパフォーマンスは、そのコア技術であり、人工知能分野の最新の成果であるディープニューラルネットワークによってもたらされます。他のマシンビジョンソリューションのライブラリは、基本的にルールベースの伝統的なマシンビジョン技術に基づいています。一方、VisionPro Deep Learning の土台となっているのは、マシンビジョンに多くの困難な問題がある中で比類のないパフォーマンスをもたらす最先端の人工知能です。

 

VisionPro Deep Learning の仕組み

VisionPro Deep Learning は、主に 2 つのフェーズで構成されています。

  1. 学習フェーズ:ディープニューラルネットワーク (VisionPro Deep Learning の各ツール) を学習させて、マシンビジョンの問題について学び、理解させる。

    • Cognex Deep Learning Studio (GUI) を使用した学習

    • VisionPro Deep Learning C++/C# API を使用した学習

  2. 開発 (ランタイム) フェーズ:完全に学習させたネットワークを展開する。このネットワークは、必要な結果をもたらし、マシンビジョンの問題を解決するためにランタイム環境の最前線に導入することができます。

    • ランタイム環境 (ランタイムワークスペース) を使用した展開

    • ランタイム API を使用した展開

 

 

Cognex VisionPro Deep Learning を使用すると、技術者は少量のサンプル画像セットに基づき、ニューラルネットワークモデルを数分で学習させることができます。アプリケーションの設定が完了したら、VisionPro Deep Learning は瞬時に正確な結果を提供し、画像を保存してプロセスコントロールを行うことができます。

 

VisionPro Deep Learning の概念

Cognex VisionPro Deep Learning ソフトウェアは、ラベル付き画像セットに基づいてビジョン最適化ディープニューラルネットワーク (VODNN) である「ツール」を学習させるために使用されます。学習済みネットワークでは、以下を実行できます。

  • 画像内の特徴を見つけて識別する (位置決め (青) ツール)。
  • 画像内の文字および文字列を見つけて読み取る (読み取り (青) ツール)。
  • 画像内の欠陥を識別して見つけ、特徴付ける (解析 (赤) ツール)。
  • 画像を分類する (分類 (緑) ツール)。

 

学習フェーズでは、VisionPro Deep Learning ツールの操作は 2 つのステップに分けられます。

  1. 学習: ツールがラベル付き学習画像セットを解析して、ネットワークを学習させます。
  2. 処理中:ツールが入力画像で実行され、学習データに基づいて結果 (マーキング) を生成します。

 

VisionPro Deep Learning ツール

VisionPro Deep Learning に組み込まれているディープラーニングアルゴリズムは、生産現場の実際の画像解析に合わせて最適化されており、必要な画像セットはごくわずかで、学習や検証の時間を短縮できます。これらのアルゴリズムは、特定のマシンビジョンの問題を解決するために用意されており、VisionPro Deep Learning ではツールと呼ばれています。各ツールは、特別にカスタマイズされたディープニューラルネットワークと理解することができます。VisionPro Deep Learning には、解析 (赤)、分類 (緑)、位置決め (青)、および読み取り (青) の 4 つのツールがあります。1 つ以上のツールを選択して、高度なスーパーバイズドアプリケーション (画像ラベル付き) または完全なアンスーパーバイズドアプリケーション (画像ラベルなし) に対応することができます。

 

位置決め (青)

位置決め (青) ツールは、特徴を見つけます。位置決め (青) ツールは、アノテーション付きの画像から学習することで、複雑な特徴やオブジェクトを見つけます。自己学習アルゴリズムにより、部品を見つけ、トレイ上の半透明医療ガラスビンを数え、キットやパッケージの品質管理チェックを行います。

 

 

読み取り (青)

読み取り (青) ツールは、テキストや文字を読み取ります。読み取り (青) ツールは、光学文字認識 (OCR) を使用して、ひどく変形したコード、傾いたコード、エッチングが不十分なコードをも解読します。事前学習されたフォントライブラリにより、すばやく簡単な実装で、追加のプログラミングやフォント学習なしでほとんどのテキストが識別されます。この堅牢なツールは、特定の OCR アプリケーション要件に合わせた再学習が可能で、ビジョンの専門知識は不要です。

 

 

解析 (赤)

解析 (赤) ツールは、画像の異常や外観上の欠陥を検出します。解析 (赤) ツールは、対象ゾーンのさまざまな外観を単に学習することで、欠陥やその他の対象領域をセグメント化します。ツールは、重大でも許容可能なばらつきを含むオブジェクトの標準の外観を単に学習することで、複雑な表面の傷、不完全または不適切なアセンブリ、および繊維の織りの問題を識別します。

 

 

分類 (緑)

分類 (緑) ツールは、オブジェクトまたはシーンを分類します。分類 (緑) ツールは、ラベル付き画像のコレクションに基づいてさまざまなクラスに分類します。許容可能な許容値を学習することで、ツールは、パッケージに基づいて製品を識別し、溶接線の品質を分類し、許容できる異常と許容できない異常を分類します。

 

VisionPro Deep LearningVisionPro

VisionPro と比較して、VisionPro Deep Learning は、複雑な検査、部品/特徴の位置決め、分類、光学式文字認識を含む特定のタスクに役立つ画期的な技術であるディープラーニングを採用した、より専門的で高性能なツールボックスです。ターゲット画像から対象の特徴を「自動的に」とらえ、VisionPro のインスペクタを含め、最高の検査員よりも優れた性能を発揮します。

もちろん、VisionPro は多くのマシンビジョンの問題を解決することができ、幾何学的なオブジェクトの位置決め、検査、識別、測定、アライメント、エッジ/ライン検出、色解析などのさまざまなタスクをサポートしていますが、その詳細は多くの場合、「手動」で設定する必要があり、タスクによってはそのパフォーマンスが制限されます。

 

VisionPro との統合

VisionPro Deep Learning は、VisionPro シリーズとの統合もサポートしています。学習済みの VisionPro Deep Learning ツール (ランタイム環境またはランタイムツール) をエクスポートし、このツールを「ツールブロック」としてVisionPro 側からインポートすることができます。このランタイムツールのパラメータを再設定し、VisionPro ツールの 1 つとして使用することができます。

Note:

VisionProDesigner、および VisionPro Deep Learning ソフトウェアのすべての操作フェーズでは、ソフトウェアを実行している PC に直接有効な Cognex セキュリティドングル が取り付けられている必要があります。Cognex セキュリティドングル を一時的に取り外したり、代用したり、共有したりすると、システムが正しく動作せず、データが失われる場合があります。