BeadFind および BeadInspect 関数の使用

このトピックでは、BeadFind および BeadInspect 関数がどのように機能するか、さらにこれらの関数を設定する基本手順の概要を説明します。

:  
  • BeadFind および BeadInspect 関数は、In-Sight ファームウェア 5.5.0 以降を搭載している In-Sight ビジョンシステムでのみ使用可能です。モデル一覧およびサポートされているファームウェアバージョンについては、ファームウェアのバージョンをご参照ください。
  • BeadFind 関数と BeadInspect 関数はカラー画像をサポートしていません。カラー画像がロードされると、自動的にグレースケール画像に変換されます。

概要

BeadFind および BeadInspect 関数の操作には、設定時および実行時という 2 つのフェーズがあります。次の図は、BeadFind および BeadInspect 関数の基本的なワークフローについて説明しています。

BeadFind 関数

BeadFind 関数は、次の手順で構成されています。

  1. ビードサンプルの位置の選択
  2. BeadFind 関数をスプレッドシートに挿入した後、[ビードサンプルの位置] の赤い円の図形を、ビード上のスポットに移動します。円の図形がビードの両側を覆うようにします。

  3. ビードパス候補の検出
  4. [ビードパスの検出] ボタンをクリックします。BeadFind 関数によって、指定されたサンプルの位置からビードパス候補の検出が自動的に開始されます。

  5. 最適なビードパスの選択
  6. 検出が完了したら、検出されたビードパス候補を表示して、最適なビードパスを選択することができます。

  7. ビードパスの編集 (オプション)

    検出されたビードパスが最適でない場合は、必要に応じて選択したビードパスを変更します。

  8. 選択したビードパスの登録
  9. [ビードパスの登録] ボタンをクリックして、選択したビードパスを登録します。

BeadInspect 関数

BeadFind 関数を使用してサンプルビードを検出して登録したら、BeadInspect 関数を使用してビードの解析基準を精緻化し、セットアップ時にビードの欠陥を識別するための測定ルールを作成します。実行時に、ビードパスが登録済みのモデルと比較されて、ビードに欠陥またはギャップがあるかどうか調べられます。

BeadInspect プロパティシートでビードの解析基準を参照する場合、疑似欠陥を取り除くためのパラメータ調整には 2 つの手法があり、[全般] タブで直接パラメータを調整するか、または [欠陥] タブのそれぞれの欠陥の隣にある [修正] ボタンを使用してツールのヒントを受け入れます。

それぞれのビードの検査について、BeadInspect 関数は欠陥の合計数を返し、欠陥の詳細が表形式で表示されます。デフォルトでは、自動的に最初の 10 個の欠陥が表に含められます。この表を拡大すると、より多くの欠陥を表示することができます。さらに、関連するその他のデータアクセス関数を使用すると、BeadInspect 関数で生成されたデータに関して独自の処理と解析を実行するための追加情報を取集することができます。

BeadFind 関数の設定

  1. サンプル画像をジョブにロードします。

    :  
    • BeadFind および BeadInspect 関数は、パーツ上のビード特徴が強調された高コントラストの画像を使用して最適に機能します。
    • BeadFind ツールの設定に使用するサンプル画像には、欠陥のない、既知の良好なビードが含まれている必要があります。
  2. BeadFind 関数をスプレッドシートに挿入します。
  3. [ビードサンプルの位置] を選択して [グラフィックスの編集] ボタンをクリックします。

    :  

    ビードサンプルの位置を設定するためのヒント:

    • ビードサンプルの位置は、ビード全体の典型であるビードセクションに配置してください。

    • ビードサンプルの位置は、ノイズのないビードの直線部分に配置してください。
    • 穴またはパーツのエッジ近くにあるビードサンプルの位置を選択しないでください。
    • ビードパスの一部が見つかった場合は、サンプル円のサイズを調整したり、ビードパスが現在トレースされていない位置へビードサンプルの位置を移動したりしてから、再度ビードを探してください。
    • ビードの幅が著しく異なる場合は、ビードの中間的な幅のセクションを、ビードサンプルの位置として選択してみてください。
  4. 対話型グラフィックスモードで、赤い円をビード上にドラッグして、ビードサンプルの位置を設定します。

    赤い円は、ビード全体の典型であるビードのセクションに配置する必要があり、赤い円はビードの両方のエッジを囲んでいる必要があります。ビードサンプルの位置を設定したら、Enter キーまたは をクリックしてプロパティシートに戻ります

  5. [ビードパスの検出] ボタンをクリックします。

    検出されたビードパス候補が青く表示され、検出されたビードパスの数が [ビードパスの検出] ボタンの右側に表示されます。

    ヒント :  ビードが見づらい場合は、[フォーマット] → [セルのフォーマット] を選択して、[グラフィックス] タブで [線の幅] を調整します。

  6. [選択したビードパス] ボックスで番号を選択して、ビードパス候補を確認します。

    次の例では、5 つのビードパス候補が検出され、番号 3 のビードパスが選択されたビードパスとなっています。

  7. (オプション) 選択したビードが最適でない場合は、必要に応じて [ビードパスの編集] ボタンをクリックしてビードパスを変更します。

    ポリラインのさまざまな部分にマウスカーソルを置くと、マウスカーソルが自動的に変換され、次のアクションが有効になります。

    マウスアイコン 説明 右クリックコンテキストメニュー

    ポリライン上の点を選択します。選択された点は緑色にハイライトされます。この点は、マウスカーソルをドラッグして移動したり、Delete キーまたは右クリックコンテキストメニューを使用して削除したりすることができます。

    • 点を削除
    • ここにポリラインを開く

    ポリラインパス上にマウスカーソルを置きます。選択された位置は緑色にハイライトされます。点を追加するには、マウスをクリックするか右クリックコンテキストメニューを使用します。

    • 点の挿入
    • ここにポリラインを開く

    複数の点を選択するには、これらの点を覆うようにボックスを描画します。選択された点は緑色にハイライトされます。点を選択したら、マウスカーソルをドラッグして移動したり、Delete キーまたは右クリックコンテキストメニューを使用して削除したりすることができます。

    • 点を削除
  8. ビードパスを選択して変更したら、[ビードパスの登録] ボタンをクリックしてビードパスを登録します。登録済みのビードパスは緑色で表示されます。

  9. [OK] をクリックして BeadFind ツールを終了します。
:  プロパティシートを閉じると、選択したビードパスのみが保存されます。検出されたその他のビードパス、およびこれらのビードパスに行われた編集は破棄されます。

BeadInsepct 関数の設定

  1. BeadInsepct 関数をスプレッドシートに挿入します。
  2. プロパティシート内で [BeadFind] パラメータをクリックします。Ctrl + Shift + A キーを押すか、絶対参照 ボタンをクリックして、BeadFind パラメータおよびセル参照を、以前に作成された BeadFind データに設定します。その後 [OK] をクリックします。
  3. BeadInspect をセルに挿入すると、欠陥が 0 の結果テーブルがスプレッドシート内に作成されます。

    :  登録ビードは、定義上は良好なビードです。したがって、BeadInspect 関数の初期パラメータは、参照された BeadFind 関数の結果に基づいて自動的に設定され、登録ビードパスの検査時に確実に欠陥が検出されないようにします。

  4. 登録画像をジョブにロードします。

    画像がロードされると、自動的に結果テーブルは最新の検査結果で更新されます。

  5. 欠陥を見直します。

    BeadInspect のプロパティシートを開き、[欠陥] タブに移動して欠陥を見直します。デフォルトでは、欠陥リストは欠陥インデックスでグループ化されています。

    次の画像は、登録画像内で検出された 8 つのビードの欠陥の概要を表しています。このビードは欠陥が 1 つだけあるビードとして定義されています (欠陥 5)。検出されたその他の欠陥は疑似欠陥であり、検査中には無視する必要があります。BeadInspect のパラメータは、設定時に調整して疑似欠陥を除去し、今後の検査時に疑似欠陥が特定されないようにする必要があります。

    :  下記のビードの例は、デモンストレーションのみを目的としています。

    欠陥タイプと関連パラメータ:

    欠陥タイプ 関連パラメータ 説明

    狭すぎる

    ビード幅:最小 (%)

    狭すぎるセクションについてビードを検査するために使用されます。

    幅が広すぎる

    ビード幅:最大 (%) 広すぎるセクションについてビードを検査するために使用されます。

    アンダーフィル

    ビードのカバレージ:最小(%)

    ビードのセクションに適用された素材が少なすぎる場合のアンダーフィルの欠陥を検査するために使用されます。

    オーバーフィル

    ビードのカバレージ:最大(%)

    ビードのセクションに適用された素材が多すぎる場合のオーバーフィルの欠陥を検査するために使用されます。
    ステップの変化 ビードのエッジステップ:最大(%) ビードエッジに沿った突起またはノッチを検査するために使用されます。粗いまたは不均一なエッジを含むビードでは、許容値を上げるためにより高い [ビードのエッジステップ最大] 値を使用します。なめらかなエッジを含むビードでは、より低いビードステップ値を使用します。

    第 1 エッジがありません

    第 2 エッジがありません

    両方のエッジがありません

    コントラストしきい値

    欠落しているエッジの欠陥を検査するために使用されます。コントラストしきい値より低いコントラストのビードエッジは、欠陥として識別されます。
    ビードエッジ位置の許容値 (%) ビードエッジ位置の変更を検査するために使用されます。ビードエッジ位置の許容値を外れたビードエッジは検出されません。

  6. BeadInspect のパラメータを調整して疑似欠陥を除去します。

    疑似欠陥は、[欠陥] タブで [修正] ボタンを使用して自動的に修正されるようにするか、[全般] タブで欠陥に関連付けられているパラメータを手動で調整することができます。

    [エッジ塗りつぶしを実行] オプションを使用した欠落エッジ欠陥の修正

    :  [エッジ塗りつぶしを実行] オプションは、[第 1 エッジがありません] および [第 2 エッジがありません] の欠陥タイプの場合にのみ機能します。両方のエッジがない場合には使用できません。
    1. 欠陥リストから [欠陥 0] を選択します。欠陥を選択すると、画像内の欠陥の位置まで画像がパンおよびズームされます。

    2. [修正] ボタンをクリックして、示されたメニューから [エッジ塗りつぶしを実行] を選択します。

    3. シアンのボックスが描画されて、画像内の塗りつぶし領域を示します。

    4. 欠陥が修正されると、欠陥リストテーブルから [欠陥 0] が削除されます。

    パラメータの更新オプションを使用した欠陥の修正

    1. 欠陥リストから [欠陥 2] を選択します。

      ビードのこのセクションでは 3 種類の欠陥が報告されています。[第 1 エッジがありません]、[狭すぎる]、および [アンダーフィル] です。

       

    2. [修正] ボタンをクリックして、示されたメニューから [更新 ビードエッジ位置の許容値 (%)] を選択します。

      • [第 1 エッジがありません] に関連付けられているパラメータは、[ビードエッジ位置の許容値 (%)] です。実際に報告されている値は 40 であり、[全般] タブに表示されている、[ビードエッジ位置の許容値 (%)] の指定された値 33 を上回っています。
      • この欠陥は、[ビードエッジ位置の許容値 (%)] の値を 33 から 40 に更新することで修正することができます。

    3. [修正] ボタンを押すと、[ビードエッジ位置の許容値 (%)] の値が自動的に 40 に更新され、エッジが検出されるようになります。

    4. この欠陥タイプが修正されると、[欠陥 2] リストから削除されます。
    5. [欠陥 2] リストで次の欠陥を選択します。

    6. [修正] ボタンをクリックして、示されたメニューから [更新 ビード幅:最小 (%)] を選択します。

      • [第 1 エッジがありません] に関連付けられているパラメータは、[ビード幅:最小 (%)] です。実際に報告されている値は 52.3 であり、[全般] タブに表示されている、[ビード幅:最小 (%)] の指定された値 79 を下回っています。
      • この欠陥は、[ビード幅:最小 (%)] の値を 79 から 52 に下げることで修正することができます。

    7. [修正] ボタンを押すと、[全般] タブの [ビード幅:最小 (%)] の値が自動的に更新され、同じエッジセクションが欠陥として識別されないようになります。

    8. [欠陥 2] リストに残っている最後の欠陥を選択します。

    9. [修正] ボタンをクリックして、示されたメニューから [更新 ビードのカバレージ:最小 (%)] を選択します。

      • [第 1 エッジがありません] に関連付けられているパラメータは、[ビードのカバレージ:最小 (%)] です。実際に報告されている値は 52 であり、[全般] タブに表示されている、[ビードのカバレージ:最小 (%)] の指定された値 76 を下回っています。
      • この欠陥は、[ビード幅:最小 (%)] の値を 76 から 52 に下げることで修正することができます。

    10. [修正] ボタンを押すと、[全般] タブの [ビードのカバレージ:最小 (%)] の値が自動的に更新され、同じエッジセクションが欠陥として識別されないようになります。
    11. [欠陥 2] リストの欠陥タイプがすべて修正されると、欠陥リストテーブルから [欠陥 2] が削除されます。

    欠陥タイプ別の欠陥のグループの修正

    それぞれの欠陥を個別に修正する代わりに、欠陥タイプ別に欠陥のグループを修正することもできます。

    1. BeadInspect のプロパティシートを開き、[欠陥] タブに移動します。 ボタンをクリックして、欠陥タイプ別に欠陥リストをグループ化します。

      この例では、欠陥 1 と 6 が同じ欠陥タイプで報告されており、関連パラメータは [ビードのカバレージ:最大 (%)] です。予測される [ビードのカバレージ:最大 (%)] の値は 134 ですが、実際に報告されている欠陥 1 と 6 の [ビードのカバレージ:最大 (%)] の値は、157.7 と 140 です。

    2. 両方の欠陥を修正するには、[全般] タブに移動して、[ビードのカバレージ:最大 (%)] の値を 158 に更新します。

    3. 値が更新されると、[オーバーフィル] 欠陥タイプ全体が欠陥リストテーブルから削除されます。

    [検出エリアの編集] の使用

    [ビードパスの登録]BeadFind 関数で実行されると、マスクおよびエッジ塗りつぶしエリアが自動的に計算され、ビード検出画像に追加されます。

    事前設定されている検出エリアの編集、検査からマスクできる新しい検出エリアの追加、またはエッジの塗りつぶしを実行するには、[全般] タブの [検出エリアの編集] ボタンをクリックします。

    マスクエリアを追加するには:

    :  マスクエリアは注意して使用してください。エリアがマスクされている場合、今後の検査では無視され、マスクされているエリア内の欠陥は報告されません。
    1. メニューから [マスクエリア] を選択します。
    2. ビードパス上で、マスクエリアを作成する位置を選択します。

    1. マスクエリアを作成する点をドラッグします。

    1. 必要に応じて、マスクエリアを調整するいずれか一方の点を移動します。

    マスクエリアを削除するには:

    1. メニューから [マスクエリアを削除] を選択します。
    2. 削除するマスクエリアを選択します。

    3. 選択したエリア内のマスクが削除されます。

    エッジ塗りつぶしエリアを追加するには:

    :  [エッジ塗りつぶしエリア] オプションは、[第 1 エッジがありません] および [第 2 エッジがありません] の欠陥タイプの場合にのみ機能します。このオプションは、両方のエッジがない場合には使用できません。
    1. メニューから [エッジ塗りつぶし] を選択します。
    1. ビードパスの 1 つ (赤いポリライン) で、エッジ塗りつぶしエリアを作成する位置を選択します。

    1. エッジ塗りつぶしエリアを作成する点をドラッグします。

    1. 必要に応じて、エッジ塗りつぶしエリアを調整するいずれか一方の点を移動します。

    エッジ塗りつぶしエリアを削除するには:

    1. メニューから [エッジ塗りつぶしを削除] を選択します。
    2. 削除するエッジ塗りつぶしエリアを選択します。

    1. 選択したエリア内で塗りつぶされているエッジが削除されます。
  7. すべての疑似欠陥が除去されると、この例では欠陥リストテーブルに表示されている欠陥は 1 つだけになります。

  8. [OK] をクリックして BeadInspect スプレッドシートを終了します。
  9. 次の画像をロードし、必要なビードインスタンスがすべて登録されるまで手順 5 ~ 8 を繰り返します。
  10. ジョブを保存します。

検査の設定値の精緻化

検査のパフォーマンスを最適にする最良の方法は、良好なビードおよび不良なビードの両方があるパーツなど、実際のパーツの画像を多数使用することです。これらのビードの画像は、実行時に発生する可能性のあるすべてのビードインスタンスの典型となるはずです。これによって、エッジ塗りつぶしエリアやマスクエリアを必要に応じて使用するなど、検査の設定値を精緻化することができます。

パフォーマンスの検証

BeadFind および BeadInspect 関数を設定した後、BeadInspect 関数が期待通りに機能することを検証することが重要です。BeadInspect 関数をこれまでの画像および新しい画像セットすべてで再実行し、すべての欠陥が正しく識別され、疑似欠陥が報告されないことを確認するよう推奨します。

BeadFind および BeadInspect 関数の実行

実行時に、In-Sight ビジョンシステムはオンラインになり、ジョブによって定義されているとおりに画像を取り込みます。画像が取り込まれると、自動的にビードが検出されて、登録されているビードモデルと比較されます。この結果はデータアクセス関数を介して出力され、BeadInspect の [欠陥] タブにビードの欠陥に関する追加情報が表示されます。