Filter

カラーまたはグレースケール出力画像を生成します。ここでは、各ピクセルが入力画像または ROI で画像強調技術の結果となっています。

:  この関数は、In-Sight ファームウェア 5.1.0 以上を実行している In-Sight ビジョンシステムだけで使用できます。モデル一覧およびサポートされているファームウェアバージョンについては、「ファームウェアバージョン」を参照してください。

Filter概要

多目的関数である Filter で、低コントラスト画像や画像内の特徴を強調するのに使用される、カラーまたはグレースケール出力画像を生成します。この関数は、検出したい特徴を強調したり、不要な特徴を最小にしたりするのに有効です。効果的に使用することによって、検査アプリケーションの信頼性と再現性を高めることができます。

Filter 関数では、さまざまな種類のローカルおよびグローバル画像強調技術を使用することができます。[フィルタタイプ] から、使用する画像強調技術を選択してください。

Filter 関数の使用方法

Filter 関数の設定には、画像の強調に使用する [フィルタタイプ] を選択することで、画像強調技術を指定することが含まれます。

最初に、画像をロードします。Filter 関数をスプレッドシートに挿入し、強調する画像領域を囲むように [領域] を調整します。[領域] の設定時には、強調する必要のある画像の領域のみを囲むようにします。強調の必要がない領域を囲むと、画像強調技術の適用方法および関数の実行時間の両方に影響します。

次に、適切な [フィルタタイプ] を選択します。選択した [フィルタタイプ] に応じて追加のパラメータが有効になり、この技術の適用方法をさらに定義できます。有効になったパラメータを調整して、適切な画像強調エフェクトを実現します。

:  
  • 強調を必要とする画像の領域が動きを有する場合、[フィクスチャ] を使用して [領域] がその領域に応じて移動することを確認してください。
  • 開始前に、検査対象の画像のデータベースを収集します。画像は [記録/再生のオプション] ダイアログを使用してロードすることができます。
  • 関数を設定したら、追加の画像をロードし、必要に応じてパラメータを調整して、画像の範囲全体に画像強調技術が正しく適用されていることを確認します。

Filterの入力パラメータ

Syntax:Filter(画像,フィクスチャ.行,フィクスチャ.列,フィクスチャ.角度,領域.X,領域.Y,領域.高さ,領域.幅,領域.角度,フィルタタイプ,カーネル行,カーネル列,自動しきい値,しきい値,最小,最大,ゲイン,スムーズネス,表示)

画像 このパラメータは、スプレッドシートで画像データ構造体を含むセルを参照する必要があります。デフォルトでは、このパラメータは、AcquireImage 画像データ構造体を含むセル A0 を参照しています。また、このパラメータは、ビジョンツールのグラフィックス関数によって返された、そのほかの画像データ構造体も参照できます。
フィクスチャ

フィクスチャ入力、またはビジョンツール関数の画像座標系の出力に関連する対象領域 (ROI) を定義します。フィクスチャに関連する ROI を設定すると、フィクスチャが回転または移動した場合に、フィクスチャに対応して ROI を確実に回転または移動できます。

デフォルト設定は画像の左上隅で、(0, 0, 0) になります。

画像座標での行オフセット。
画像座標での列オフセット
角度 画像座標系での方位角
領域

これは対象領域 (ROI) とも呼ばれ、解析の対象となる画像の領域を表します。変換および回転可能な矩形の画像領域を作成します。このパラメータを選択して、プロパティシートのツールバーにある [領域の最大化] ボタンを押すと、画像全体が対象になるように領域が自動的に拡張されます。

X フィクスチャ座標での原点の X オフセット
Y フィクスチャ座標での原点の Y オフセット
領域の X 軸に沿った寸法。
領域の Y 軸に沿った寸法。
角度 フィクスチャ座標での角度。
:  [フィクスチャ] および [領域] パラメータは、画像の範囲内で定義されている必要があります。画像の範囲内で定義されていない場合、この関数は #ERR を返します。
フィルタタイプ 実行する画像強調技術のタイプを指定します。結果は、グレースケール出力画像で表示されます。
0 = 2 値化 (デフォルト)

各入力ピクセルとしきい値を比較する白黒 (「2 値化」) のしきい値操作を指定して、出力ピクセルが白か黒かを特定します。[しきい値] パラメータ以上の入力ピクセル値は白であり、しきい値未満の値は黒です。

:  カラー入力画像が使用される場合、出力画像はグレースケール画像となります。
1 = ボトムハット

「ボトムハット」フィルタ処理操作を指定します。この操作は、近傍カーネルのサイズより小さい、暗い特徴以外のすべてを除去します。結果は、これらの暗い特徴が明るいピクセルで表示され、背景が暗く表示された出力画像になります。

:  この操作により、[カーネル行] パラメータと [カーネル列] パラメータが有効になります。カーネルは、奇数の整数である必要があります。
2 = クリップ

グレースケールスペクトルの両端を除去する「クリッピング操作」を指定して、出力画像内の特徴をより均一にします。この操作で、各入力ピクセルのグレースケール値と、[最小] および [最大] パラメータ値とを比較します。

  • 入力ピクセル値が最小値または最大値と同じかそれを超える場合、出力ピクセルはそれぞれ最小値または最大値に割り当てられます (クリッピングされます)。
  • 入力ピクセル値が最小値と最大値の範囲内の場合、出力ピクセルは入力ピクセルの値に割り当てられます。
3 = クローズ

「クロージング」操作を指定します。この操作はダイレーションの後にエロージョンを実行し、近傍カーネルのサイズより小さい、暗い特徴を除去します。画像をクロージングすると、画像の暗い領域を削減または完全に削除します。

:  この操作により、[カーネル行] パラメータと [カーネル列] パラメータが有効になります。カーネルは、奇数の整数である必要があります。
4 = 膨張

「ダイレーション」操作を指定して、画像の明るい特徴を強調する一方で、暗い特徴は表示しません。結果は、明るいピクセルがより大きな領域を占める出力画像になります。暗い斑点の除去に有効です。

:  この操作により、[カーネル行] パラメータと [カーネル列] パラメータが有効になります。カーネルは、奇数の整数である必要があります。
5 = エッジ強度

入力画像のダイレーションとエロージョンの差を表示する操作を指定します。結果は、エッジが明るいピクセルで表示された出力画像になります。この操作は、勾配 全方向に似ていますが、より複雑な対角線方向のエッジを表現できます (ただし、より時間がかかります)。

:  この操作により、[カーネル行] パラメータと [カーネル列] パラメータが有効になります。カーネルは、奇数の整数である必要があります。
6 = 等化ヒストグラム平坦化操作を指定して、入力画像のヒストグラムを抽出し、最も多いグレースケール値を分散させて、分布をより均一にします。その結果、出力画像はコントラストが強調されます。照明が 1 つの画像から次の画像へわずかに変化する環境や、検査対象の一部の外観がわずかに変化する可能性がある場合に、このタイプのフィルタが役立ちます。
7 = 収縮

画像の明るい特徴を削減する「エロージョン」操作を指定します。結果は、暗いピクセルがより大きな領域を占める出力画像になります。明るい斑点 (ノイズピクセルおよび/または小さな欠陥) の除去に有効です。

:  この操作により、[カーネル行] パラメータと [カーネル列] パラメータが有効になります。カーネルは、奇数の整数である必要があります。
8 = 黒穴塗りつぶし明るいピクセルで囲まれた暗いピクセルを明るいピクセルに変換する「ピクセル塗りつぶし」操作を指定します。結果は、暗い穴が塗りつぶされた出力画像になります。
9 = 白穴塗りつぶし暗いピクセルで囲まれた明るいピクセルを暗いピクセルに変換する「ピクセル塗りつぶし」操作を指定します。結果は、明るい穴が塗りつぶされた出力画像になります。
10 = 勾配 全方向「垂直方向および水平方向の傾斜」操作を指定します。結果は、垂直方向および水平方向のエッジが明るいピクセルで表示された出力画像になります。この操作は、エッジ強度に似ていますが、より簡易で (処理が早く)、対角線方向のエッジは表現しません。
11 = 勾配 水平方向「水平方向の傾斜」操作を指定します。結果は、水平方向のエッジが明るいピクセルで表示された出力画像になります。
12 = 勾配 垂直方向「垂直方向の傾斜」操作を指定します。結果は、垂直方向のエッジが明るいピクセルで表示された出力画像になります。
13 = グレースケール距離各出力ピクセルのグレースケール値を、各入力ピクセルのグレースケール値としきい値レベルの差として指定します (例えば、入力ピクセル値が 100 で、しきい値が 25 の場合、出力ピクセルは 75 となります)。これは [しきい値] パラメータで指定されます。
14 = ハイパス

「ハイパス」操作を指定します。結果は、むらのないグレースケール勾配を持つ領域に対し、相対的にエッジが強調された出力画像となります。このタイプのフィルタは、高精度の特徴を強調する場合に有用です。

:  この操作により、[カーネル行] パラメータと [カーネル列] パラメータが有効になります。カーネルは、奇数の整数である必要があります。
15 = 反転256 諧調のグレースケールに基づいてピクセル値の反転を指定します。結果は、入力画像の「ネガティブ」である出力画像になります (例えば、入力ピクセル値 10 を反転すると、出力ピクセル値 245 になります)。
17 = ローカル中央値

近傍カーネル内のピクセル値の中央ピクセル値を計算し、その結果を出力画像のピクセル値に使用します。

:  この操作により、[カーネル行] パラメータと [カーネル列] パラメータが有効になります。カーネルは、奇数の整数である必要があります。
18 = 正規化したローカル中央値

画像から背景を減算します。この操作は、入力画像から入力画像のローカル中央値を減算し、結果を右に 1 つシフトし、128 を加算して出力ピクセル値を生成します。

:  この操作により、[カーネル行] パラメータと [カーネル列] パラメータが有効になります。カーネルは、奇数の整数である必要があります。
19 = ローパス

「ローパス」操作を指定します。結果は、エッジが平滑化された、またはぼやけた出力画像になります。

:  この操作により、[カーネル行] パラメータと [カーネル列] パラメータが有効になります。カーネルは、奇数の整数である必要があります。
20 = 最大 (トップハット/ボトムハット)

トップハットおよびボトムハット操作の最大値を使用する操作を指定します。

:  この操作により、[カーネル行] パラメータと [カーネル列] パラメータが有効になります。カーネルは、奇数の整数である必要があります。
21 = オープン

「オープニング」操作を指定します。この操作はエロージョンの後にダイレーションを実行し、近傍カーネルのサイズより小さい明るい特徴を除去します。結果は、明るさ全体がわずかに減少した出力画像になります。少量の明るいピクセルが削除され、残りの明るい特徴が強調されています。

:  この操作により、[カーネル行] パラメータと [カーネル列] パラメータが有効になります。カーネルは、奇数の整数である必要があります。
22 = 光密度ピクセル値の反転を対数尺度に基づいて指定します出力ピクセル値 = 100 × log (255) - 100 × log (入力ピクセル値)。出力画像はオブジェクトの密度や、入力画像を通過する光の総量を計測した結果としての特徴が現れます。高密度のオブジェクトや特徴は、出力画像の明るいピクセルで表現されます。
23 = シャープ

エッジ強調に使用する「シャープネス」操作を行います。隣接ピクセル間のコントラストを評価し、高コントラストの場合、コントラストを上げます。隣接ピクセル間の大きなコントラスト差は、通常エッジを表します。しかし、この操作はローカルエッジの検出ために使用されるべきではありません。この操作の効果は、画像コンテンツおよび解像度によって異なります。

  • [スムーズネス] パラメータを使用して、ガウス (ガウシアン) カーネルを作成することによってエッジを識別します。
  • [ゲイン] パラメータはシャープネスの強度を決定します。ピクセル間の一定の差を無視することによって、軽い陰影のあるエリアを過度にシャープにしてしまうことを防ぎます。
24 = 引き伸ばし入力画像内のグレースケール値を ([最小] および [最大] パラメータ設定に基づいて) 最大の 256 階調のグレースケールまで直線的に「スケールアップ」または「引き伸ばし」します。結果は、コントラストが強められた出力画像になります。入力ピクセル値が最小値または最大値と同じかそれを超える場合、出力ピクセルはそれぞれ 0 または 255 に割り当てられます。最小値または最大値以内の入力ピクセル値の場合、直線的に 0 ~ 255 の範囲に引き伸ばされます。例えば、[最小] が 50 で [最大] が 180 の場合、この操作では各ピクセルの明度から 50 を減算し、範囲を 0 ~ 130 にします。次に各ピクセルの明度を 255/130 で乗算し、0 ~ 255 の範囲を作成します。
25 = しきい値範囲

各入力ピクセルと 2 つのしきい値 ([最小] および [最大]) を比較する白黒 (「2 値化」) のしきい値操作を指定して、出力ピクセルが背景か前景かを特定します。入力ピクセル値が最小値または最大値以内の場合、出力ピクセルはその値を保持し、最小値または最大値の範囲外である場合は、出力ピクセルは背景レベルに設定されます。

:  最小値が最大値よりも大きい場合は、背景が反転されます。
26 = トップハット

「トップハット」フィルタ処理操作を指定します。この操作は、近傍カーネルのサイズより小さい、明るい特徴以外のすべてを除去します。結果は、これらの明るい特徴が明るいピクセルで表示され、それ以外の背景が暗く表示された出力画像になります。

:  この操作により、[カーネル行] パラメータと [カーネル列] パラメータが有効になります。カーネルは、奇数の整数である必要があります。
カーネル行

カーネル行数 (1 ~ 25、デフォルト = 3) を指定します。カーネルとは長方形の数配列のことで、画像の各ピクセル位置に対して近傍処理操作を行います。ピクセルの近傍グレースケール値は、出力画像上のピクセル位置のグレースケール値を定義します。

:  
  • カーネルは非加重です。
  • カーネルは、奇数の整数である必要があります。通常、カーネルは 3 × 3 ですが、そのサイズは任意です。

このパラメータは、フィルタタイプが次のずれかに設定されている場合に、ON になります。

カーネル列

カーネル列数を指定します (1 ~ 25、デフォルト = 3)。カーネルとは長方形の数配列のことで、画像の各ピクセル位置に対して近傍処理操作を行います。ピクセルの近傍グレースケール値は、出力画像上のピクセル位置のグレースケール値を定義します。

:  
  • カーネルは非加重です。
  • カーネルは、奇数の整数である必要があります。通常、カーネルは 3 × 3 ですが、そのサイズは任意です。

このパラメータは、フィルタタイプが次のずれかに設定されている場合に、ON になります。

自動しきい値

[フィルタタイプ][2 値化][グレースケール距離] または [しきい値範囲] に設定した場合に、しきい値レベルを自動的に設定するかどうかを指定します。

:  デフォルトでは、このパラメータは有効になっています。[しきい値] パラメータを使用する場合は、このパラメータを無効にします。
  • このパラメータが有効になっているときに [フィルタタイプ][2 値化] に設定すると、指定領域内のグレースケール値に基づいて、しきい値レベルが自動的に設定されます。
  • このパラメータが有効になっているときに [フィルタタイプ][グレースケール距離] に設定すると、指定領域内の平均グレースケール値に基づいて、しきい値レベルが自動的に計算されます。
  • このパラメータが有効になっているときに [フィルタタイプ][しきい値範囲] に設定すると、自動的に次の内容が適用されます。
    • ピクセル値が [最小] パラメータ設定より小さい場合、あるいはピクセル値が [最大] パラメータ設定より大きい場合、ピクセル値は背景に設定されます。
    • ピクセル値が [最小] および [最大] パラメータ設定の範囲内にある場合、 ピクセル値は前景に設定されます。
しきい値

[フィルタタイプ][2 値化][グレースケール距離] または [しきい値範囲] に設定した場合に、しきい値レベルを設定します (0 ~ 255、デフォルト = 128)

:  デフォルトでは [自動しきい値] パラメータが有効になっています。[しきい値] パラメータを有効にするには、[自動しきい値] を無効にします。

デフォルトでは [自動しきい値] パラメータが有効になっています。[しきい値] パラメータを有効にするには、[自動しきい値] を無効にします。

最小 [フィルタタイプ][クリップ][引き伸ばし] または [しきい値範囲] に設定した場合に、最小グレースケール値を指定します (0 ~ 255、デフォルト = 128)
最大 [フィルタタイプ][クリップ]、] または に設定した場合に、最大グレースケール値を指定します (0 ~ 255、デフォルト = 128)
ゲイン [フィルタタイプ][シャープ] に設定した場合に、ゲイン値を指定します (0 ~ 10、デフォルト = 1)。このパラメータは、エッジコントラストの強度を制御することによって、シャープネス強度を決定します。エッジ周囲のピクセルはその最小値または最大値により、エッジをよりシャープにします。
スムーズネス

[フィルタタイプ] を に設定した場合に、ガウス (ガウシアン) カーネルのスムーズネス値を指定します (1 ~ 4、デフォルト = 1)。スムーズネスは、ガウス (ガウシアン) カーネルの標準偏差を制御します。高スムーズネス値は、スムーズ操作では広い「絞り」となり、特徴をシャープにするのに役立ちます。

:  ガウス (ガウシアン) とは釣鐘型の曲線のことを指し、ROI 内のピクセルに加重平均を適用します。
表示

画像の上に表示されるグラフィックスオーバーレイを指定します。

0 = 非表示 (デフォルト) Filter 関数を含んでいるセルがスプレッドシート上でハイライトされている場合を除き、入力画像領域は表示されません。
1 = 結果のグラフィックスのみ 処理された画像が常に表示されます。
2 = 入力のグラフィックスのみ 入力画像領域が常に表示されます。

Filterの出力

戻り値

処理済みの画像を含んでいる画像データ構造体。入力パラメータが無効であれば #ERR を返します。

:  
  • 画像データ構造体にある処理済みの画像領域の内容は、ジョブとともに保存されることはありません。
  • この関数が返す値の追加情報については、画像データアクセス関数から参照できます。