特徴パラメータとサンプリングパラメータの設定

他のツールとは異なり、位置決め (青) を使用する場合、特徴パラメータサンプリングパラメータ のパラメータは、各ビューに配置する特徴ラベルのサイズやその他のプロパティに影響するため、ラベル付けする前に設定する必要があります。

 

特徴パラメータの設定

2 つの特徴パラメータである [回転済み][スケール調整済み] は、ツールがラベル付け、学習、および報告できる特徴の自由度 (DOF) を提供します。回転とスケールを有効にすると、ツールの学習中に無制限のスケールと回転の変更に対する許容値が組み込まれます。ツールが対応できる回転とスケールの具体的な範囲は、その後ランタイムプロパティによって制御されます。

[回転済み][スケール調整済み] のどちらかまたは両方が有効になっている場合は、各特徴に対してその位置と ID に加えて回転やサイズも一貫した方法でラベル付けする必要があります。ランタイム中に、検出された特徴の回転とスケールが判断され、報告されます。必要に応じて、ばらつきを考慮するために [角度範囲][サイズ範囲] 処理パラメータを調整することができます。

Note:
  • 特徴が回転とスケールのどちらかまたは両方のみを許容できるようにする場合、これらの設定は有効にしないでください。代わりに摂動ツールのパラメータを使用して、回転とスケールの適切な量を有効にしてください。
  • 特徴パラメータである [回転済み][スケール調整済み] は、位置決め (青) ツールと読み取り (青) ツールに対してのみ使用できます。
  • [レガシーモード] チェックボックスは、[回転済み] と [スケール調整済み] の動作を 3.0 の前リリースの状態にします。この状態では、学習中のスケールと回転の許容値は、学習サンプルと摂動パラメータに基づいて固定されます。

    [レガシーモード] では、抽出された特徴の回転とスケールの適合率が制限されます。スケールは、特徴のサイズ間隔の 1/4 ~ 4 倍に固定されます。

 

回転済み

[回転済み] 設定は、特徴ラベルグラフィックスの回転を調整することで、手動で設定されます。特徴ラベルグラフィックスの回転を調整するには、ラベルのハンドルをクリックし、目的の回転角度にドラッグします。各特徴のラベルを回転させて、特徴の回転が正しくラベル付けされるようにしてください。

 

  1. 特徴パラメータ で [回転済み] を選択します。

     

  2. 画像表示領域で特徴を選択します。赤い回転トグルボタンが表示されます。

     

  3. トグルを選択してドラッグし、特徴を回転させます。

Note: アプリケーションに回転特徴が含まれている場合は、位置決め (青) ツールに回転を適切に処理するように学習させます。
  • [回転済み] パラメータを有効にします。
  • さまざまな回転のばらつきのすべてが正確にラベル付けされていることを確認してください。

 

スケール調整済み

[スケール調整済み] が有効になっている場合は、特徴のサイズを使用して各特徴にラベルを付けます。ランタイム時に、検索する特徴のサイズの範囲を指定します。[スケール調整済み] が有効になっている場合は、特徴のサイズを設定し、100% のスケールの特徴のサイズを示します。ランタイムのスケール範囲は、基本の特徴のサイズに相対して返される特徴のサイズの範囲です。[均一] または [不均一] のどちらのスケールを有効にするかも選択できます。

 

均一スケール調整済み

[均一] スケールが有効になっている場合は、異なるサイズでも、特徴のすべてのラベルが同じ形状になります。各特徴にラベルを付けるときは、サイズに基づいて各特徴にラベルを付けます。ツールのランタイム操作中に、発生すると予想される特徴のサイズの範囲を指定します。

Note: Ctrl キーを押しながら領域のハンドルをドラッグすると、特徴ラベルグラフィックスのサイズ変更が中心に配置されます。

 

不均一スケール調整済み

[不均一] スケール (アスペクト比とも呼ばれる) が有効になっている場合は、特徴のサイズを設定して X と Y の 100% のスケールを個別に指定し、一意のアスペクト比で各特徴のインスタンスにラベルを付けます。これは、形状の異なるパーツの範囲を検出するように単一のツールを学習させる場合に役立ちます。

Note:
  • 特徴のサイズパラメータ設定がラベルの寸法に一致するようにしてください。これは、グラフィックスで設定することも、ラベルに基づいて手動で設定することもできます (ラベル上にカーソルを移動して、ラベルの X および Y の寸法を取得します)。
  • Ctrl キーを押しながら領域のハンドルをドラッグすると、特徴グラフィックスの現在の位置に基づいて、特徴ラベルグラフィックスのサイズ変更が中心に配置されます。
  • Shift キーを押しながら領域のハンドルをドラッグすると、不均一なスケールの特徴グラフィックスのラベルが作成されます。

 

サンプリングパラメータの設定

特徴とは、画像データの中で対象となるピクセルであると同時に、マシンビジョンの問題を解決し、特定の目標を達成するために重要なピクセルのことです。たとえば、位置決め (青) ツール用のビューで、オブジェクトの境界線、色、陰影を表すピクセルを特徴とすることができます。

 

特徴がどのようにサンプリングされるか

フォーカスモードの分類 (緑) ツール、フォーカスモードの解析 (赤) ツール、位置決め (青) ツール、および読み取り (青) ツールは入力画像を均一にサンプリングしません (ただし画像のサンプリングは画像全体で行われます)。学習中、ツールは特殊な技術を使用して、ネットワークに追加の情報をもたらす可能性が高いと見なされた画像の部分をより高い割合で選択的にサンプリングします。

ネットワークの学習は、サンプル領域内の情報と、サンプル領域の周囲からのコンテキスト情報の両方を使用して実行されるため、画像のエッジで収集されるサンプルからの影響を大きく受ける場合があります。画像内のビューを使用している場合、ビューのエッジで収集されるサンプルのコンテキスト情報では、ビューの外側にあるピクセルもコンテキストデータを取得するために使用されます。

1

特徴のサイズ

2

サンプル領域

3

コンテキスト領域

サンプルが画像自体のエッジにある場合、ツールではコンテキストとして使用する合成ピクセルを生成します。この生成に使用される具体的な方法は、マスク、境界、サンプルカラーチャネルなど (それぞれ [境界線タイプ] および [カラー]) を使用して制御できます。

ツールでは、サンプリング中に使用するマスクを指定することもできます。これによって、画像の一部を明示的に学習から除外することができます。ただし、[マスキングモード] パラメータの設定によっては、マスクされた領域もコンテキストとして考慮されます

最後に、カラー画像 (または複数の面またはチャネルを含んでいる画像) を使用している場合は、どのチャネルをサンプリングするかを明示的に指定できます。複数のチャネルを使用すると、学習または処理時間に若干の影響が及びますが、色が画像内の重要な情報を提供するような場合にツールの精度が向上します。

Note: [マスキングモード] パラメータは、以下の方法によって画像の境界を処理するための代替手段として使用できます。つまり、画像の境界をマスクすることで、コンテキストを得るために合成ピクセルの生成が必要となる画像のサンプルの収集を阻止することができます。

 

サンプリングパラメータ

フォーカスモードツールの場合、ツールを効果的に学習させるには、特徴がどのようなものかをできるだけ詳細に指定する必要があります。この仕様は、サンプリングパラメータを設定することで達成されます。フォーカス ツールでは、ビューからピクセル情報をサンプリングする特徴のサンプラーを使用します。サンプリングパラメータを設定することで、この特徴のサンプラーにサンプリングすべき特徴とそうでない特徴のプロパティを伝えます。

Note: サンプリングパラメータは学習結果に影響を与えるため、学習前に他の学習パラメータ (ネットワークモデルパラメータ、学習パラメータ、摂動パラメータ) と共に設定する必要があります。
Note: High Detail および High Detail Quick アーキテクチャに基づくツールは、ビュー全体からピクセル情報をサンプリングするため、サンプリングパラメータで設定する特徴のサンプラーが不要であり、特徴を設定する必要がありません。

 

サンプリングツールのパラメータは、画像が学習中および処理中にサンプリングされる方法を制御します。

パラメータ 説明

特徴のサイズ

一般的な特徴の直径 (ピクセル単位) を指定します。[特徴のサイズ] パラメータは、画像の左下にグラフィックで表示され、その画像内でグラフィックを使用してサイズ変更することで、さらに正確なサイズを設定できます。

特徴のサイズは、処理時間 (n2) に大きく影響します。つまり、特徴のサイズが 100 の場合は、サイズが 10 の場合よりも 100 倍高速ですが、特徴のサイズが 15 より小さいと通常良い結果は得られません。

[特徴のサイズ] を設定するときは、処理時間 (P時間) に関して次の点を考慮してください。

Note: ツールは、実際には [特徴のサイズ] 設定よりも 5 倍大きい領域を視野に含めることになります。ただし、周辺部とは対照的に、特徴の中心部により詳細なレベルが表示されます。

詳細

位置決め (青) ツールが、特徴ラベルの周囲の領域と比較して、特徴のグラフィック内の領域にどの程度焦点を当てるかを指定します。使用可能な設定は 1 ~ 4 の値です。

  • このパラメータが有効になっており、4 に設定されている場合、ツールはラベル付けされている特徴のサイズのグラフィック内の領域に関する学習にさらに焦点を当て、グラフィックの周囲のコンテキスト領域にはあまり注意を払わなくなくなります。
  • このパラメータが有効になっており、1 に設定されている場合、ツールはコンテキストと、ラベル付けされている特徴のサイズのグラフィック内の領域の両方に焦点を当て、ラベル付けされている特徴のサイズのグラフィック内の詳細にはあまり注意を払わなくなくなります。
  • 2 と 3 の設定は、1 と 4 の 2 つの両極端な設定の中間の度合いになります。

カラー

画像をサンプリングするときに使用するカラーチャネルの数を指定します。1 に設定されている場合、カラー画像はグレースケールに変換されます。

  1. 画像をグレースケールとして取り扱う
  2. 2 チャネルの画像 (スペクトル画像、グレー+アルファ)
  3. BGR 画像
  4. BGR(A) 画像
Note:
  • 画像が RGB(A) である場合は、グレースケールに変換されます。計算の効率 (メモリの割り当て、転送、ファイルの保存、カラー変換など) を高めるために、常に正しい数のチャネルを使用してください。VisionPro Deep Learning ツールでは BGR チャネルの順序を使用します。
  • アプリケーションがカラー画像に依存している場合は、最小限必要な数のカラーチャネルのみを使用し、正しい数のチャネルを持っている画像のみを送信して変換を回避してください。その理由は次のとおりです:

画像のチャネル数 学習するチャネル数 説明
1 (グレースケール) 1 グレースケール画像の正しい設定。
1 2、3、4 これは学習エラーになる確率が高くなります。
2 1 ツールは最初のチャネルのみを使用します。
2 2 ツールは完全なピクセル情報を使用します。
2 3、4 これは学習エラーになります。
3 (BGR) 1 これによって BGR からグレースケールの変換が行われます。
3 2 ツールは最初の 2 つのチャネル (つまり、B と G) のみを使用します。
3 3 ツールは完全なピクセル情報を使用します。
3 4 これは学習エラーになる確率が高くなります。
4 (BGRA) 1 これによって BGRA からグレースケールの変換が行われます。
4 2 ツールは最初の 2 つのチャネル (つまり、B と G) のみを使用します。
4 3 ツールは最初の 3 つのチャネル (つまり、B、G、および R) のみを使用します。
4 4 ツールは完全なピクセル情報を使用します。

境界線タイプ

画像の外部のピクセルがサンプリングされる方法を指定します。

Tip: 画像の境界にマスクを追加すると、誤検出率が大幅に減少します。
  • 黒:画像の外部を単色 (黒) で塗りつぶします。

  • 重複:画像の外部を最後のピクセルで塗りつぶします。

マスキングモード

マスクがサンプリングされた画像にどのように適用されるかを指定します。ツールによって処理される画像の領域を制限するためにマスクが使用されます。

Note: マスクは学習後に設定できますが、学習前に設定すると、学習フェーズに役に立ちます。
  • 透明:サンプルは画像内のマスクされていない部分だけで収集されますが、コンテキスト領域からのデータもマスクされている領域から収集されます。これにより、マスクまたは ROI の境界にある特徴または欠陥は、中心にある特徴または欠陥と同じ応答を生成します。
  • マスク:マスクはマスクされている領域を無視するために使用されます。マスクされているすべてのピクセルは 0 に設定されます。これにより、画像のマスクされた部分からのデータは、学習中またはランタイム中に考慮されなくなります。ただし、マスク境界付近の欠陥や特徴に対するツールの応答も変更されます。この設定を使用して、ツールを ROI の中心にフォーカスすることもできます。
  • オーバレイ:マスクはサンプリングされた画像に追加のカラーチャネルとして適用されます。
Note:
  • [詳細][境界線タイプ]、および [マスキングモード] パラメータは、[エキスパートモード] が有効になっている場合にのみ利用できます。これは、[ヘルプ] メニューで有効にできます。
  • ツールの学習が終了した後にサンプリングパラメータを変更すると、基礎となる画像統計が根本的に変化するため、学習が無効になります。これによって、ツールの再学習が必要になります。

 

サンプリングパラメータの詳細:特徴のサンプリングと特徴のサイズ

フォーカスモードの分類 (緑)、フォーカスモードの解析 (赤)、位置決め (青)、および読み取り (青) の各ツールは、指定する特徴のサイズに基づいて画像を解析します。ピクセル単位で表された特徴のサイズは、ツールにとって、入力画像における「重要な」特徴または「特殊な」特徴の予想されるサイズに関するヒントとなります。特徴のサイズを選択する最良の方法は、人間の検査員のように入力画像を検査する方法です。特徴とは、画像を「良好」または「不良」に定義したり、欠陥や問題を識別したり、何かがどこにあったのか、それは何だったのかを特定したりするために使用する画像の特徴です。

たとえば、エンジンの数に基づいて飛行機の写真を分類しようとする場合、特徴のサイズは、飛行機のエンジンの大まかなサイズになります。

学習およびランタイムの両方で、ツールは、画像のサブ領域内のピクセルやその領域の周囲のコンテキスト情報を使用して、画像からサンプルを収集します。このコンテキスト領域は、特徴のサイズの約 5 倍です。

1

特徴のサイズ

2

サンプリング領域

3

コンテキスト領域

 

次のいくつかのガイドラインに従う必要がありますが、特徴のサイズの指定は主観的な判断です。位置決め (青) ツールの場合、特徴のサイズは、識別しているオブジェクトの大まかなサイズになります。異なるサイズの特徴にラベル付けする場合は、妥協点となる特徴のサイズを選択してください。

Note: 特徴のサイズとツールの学習/処理速度の関係の詳細については、「特徴のサイズの最適化」を参照してください。