TestRun™

TestRun™ は、マシンビジョンアプリケーションが想定されるパラメータの範囲内で動作していることを確認するのに使用します。TestRun は、In-Sight ビジョンシステムでテストを実行し、その結果を想定される値と比較します。

:  TestRun を使用できるのは、フルアクセス権限を持つユーザのみです。

TestRun は、In-Sight ビジョンシステムに関する次のテストから構成されます。

  • 限界テスト: パラメータのリストを参照して、現在の値が、該当するパラメータに対して設定されている上限値と下限値の間に収まっているかどうかを判別します。このパラメータ値を設定するには、ジョブ内のオペレータ I/F 関数、ジョブに読み取られたディスクリート入力値、または通信プロトコルを介して外部デバイスから送信された値を使用します。
  • 画像テスト: 該当する品質の画像 (「良好」および「不良」) のセットをビジョンシステムに送信し、各画像の現在のジョブ結果が想定される結果と一致しているかどうかを判別します。
  • ハードウェアテスト: ビジョンシステムが取り込んだ画像の品質を想定される画像品質と比較し、カメラの位置、フォーカス、照明などが変化したかどうかを判別します。

In-Sight ビジョンシステムをテストする理由

マシンビジョンアプリケーションは非常に複雑であり、オペレータが調整可能なパラメータ、相互に関係する検査ツール、および想定される結果に影響を与える環境変数が多数存在します。In-Sight ビジョンシステムをテストすることは、システムの一部分に変更を加えてもほかの部分の動作には影響を与えないことを保証する「ベースライン」を提供することになります。例えば、日中に窓から絶えず差し込む環境光によって露出が過度になり、想定される結果に影響を与える場合があります。

製造現場の工場マネージャは、TestRun を使用することによって、ビジョン検査システムが欠陥を検出し、良好な部品を不合格にしていないことを確認することができます。また、ビジョンシステムのエンジニアは、TestRun を使用することによって、システムに新しいツールを追加したときの性能を即座に確認することができます。さらに、メンテナンス技術者は、TestRun を使用することによって、パラメータの調整具合を即座にチェックすることができます。このため、ある領域で行った調整が、そのほかのツールに問題を引き起こしていないかどうかを確認することができます。

TestRun の設定

TestRun では、次の前提が必要です。

  • マシンビジョンアプリケーションは既に開発済みで、.job ファイルとして In-Sight ビジョンシステムに保存されている。
  • In-Sight Explorer 内で、ビジョンシステムへの接続が確立されており、.job ファイルがロードされている。
  • アプリケーションで使用する画像を含む画像データベースが作成されている。
:  画像データベースに、「良好」画像 (合格した画像) および「不良」画像 (不合格の画像) の両方の例が含まれているのが理想的です。TestRun は、さまざまなファイル規格構造を持つ画像データベースで動作可能です。ただし、TestRun を起動する前に、画像を「良好」および「不良」のフォルダにソートしておくと、それ以降のプロセスが単純化されます。

EasyBuilder ビューおよびスプレッドシートビューで開発したジョブ

In-Sight Explorer には、In-Sight マシンビジョンアプリケーション (.job ファイル) の開発用に、EasyBuilder ビューおよびスプレッドシートビューという 2 つの異なるプログラミング環境が用意されています。TestRun は、いずれの環境で開発された .job ファイルでも動作します。ただし、使用した開発環境に応じて、TestRun の設定には多少の違いがあります。例えば、TestRun は、参照としてシンボリックタグを基にしています。EasyBuilder 開発環境では、シンボリックタグは、ジョブが構築されたときに自動的に作成されます。一方、スプレッドシート環境では、通常セル参照が使用されます (TestRun には、シンボリックタグを自動的に作成する機能があります)。

以下のトピックでは、それぞれの開発環境での TestRun の構成および設定を説明しています。