ラインスキャン制御

ラインスキャン制御を使用して、In-Sight 5604 または 9902L ラインスキャンビジョンシステムを設定することができます。ラインスキャンは、ターゲットオブジェクトが真下を通り過ぎるたびに、行ごとに画像を生成することから、円筒形状の対象物全体の曲がりのない画像や、表面を薄切りした連続画像を生成することが可能です。ご用意いただいたエンコーダ使用して、ターゲットスピードのばらつきに関わらず、高精度の画像を提供することができます。

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  • これらの制御を有効にするには、In-Sight 5604 または 9902L ラインスキャンビジョンシステムまたはエミュレータに接続する必要があります。
  • フルアクセス権限を持つユーザのみが、ラインスキャンの設定をすることができます。
  • ラインスキャンビジョンシステムはオフラインにしてください。

トリガ: ラインスキャンビジョンシステムのオンライン時における、画像取り込みトリガソースを定義することができます。

  • カメラ (デフォルト): ビジョンシステムの専用取り込みトリガ入力において検出される、立ち上がりエッジで画像取り込みを有効にします。
  • 連続: 「フリーランニング」による画像取り込み (可能な限り高速) を有効にします。
  • 外部: シリアルコマンド、または画像取り込みトリガとして設定されているディスクリート入力ビットが立ち上がりエッジになったときの、いずれかで画像取り込みを有効にします。

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    • ビジョンシステムの内蔵画像取り込みトリガ入力 (AcquireImage 関数の [トリガ] パラメータを [カメラ] に設定) に対し、汎用入力ラインを画像取り込みトリガ ([トリガ] パラメータを [外部] に設定) として設定することにより、より高速にトリガを実行することができます。
    • AcquireImage 関数の [トリガ] パラメータを [外部] に設定したときに画像取り込みに失敗した場合、[エラー: 画像取り込みミス] ディスクリート出力は、ビジョンシステムから送信されません。 [エラー: 画像取り込みミス] 信号は、AcquireImage 関数の [トリガ] パラメータが [カメラ] に設定されている場合のみサポートされています。
  • 手動: F5 キーが押されたときに、画像取り込みを有効にします。
  • 産業用イーサネット: 産業用イーサネットプロトコルによるトリガを有効にします (EtherNet/IPPOWERLINKProfinetSLMP スキャナまたは CC-Link IE フィールド Basic)。
  • タイムスタンプ: PLC から EtherNet/IP を介し、ビジョンシステムにタイムスタンプトリガが送信されたときに、画像取り込みを有効にします。 [タイムスタンプ] オプションは次のビジョンシステムのみでサポートされています。
    • 128MB 以上の不揮発性フラッシュメモリを持ち、ファームウェアバージョン 4.5.0 以降を搭載した In-Sight 5000 シリーズビジョンシステム

      :  In-Sight 5605 ビジョンシステム (ハードウェアタイプ 821-0032-1R)、In-Sight 5705 ビジョンシステムおよび In-Sight 5705C ビジョンシステムではサポートされていません。
    • In-Sight 7000 Gen2 シリーズビジョンシステム
    • In-Sight 9000シリーズビジョンシステム

ラインディレイ (ライン): 画像取り込み開始前に、カメラがトリガを受信してからの遅延ライン数を定義します。

:  このコントロールを有効にするには、[トリガ] パラメータを [カメラ] に設定してください。

トリガ間隔: [トリガ] コントロールが [連続] に設定されている場合の、画像取り込み間隔をミリ秒単位で定義します (0~10,000、デフォルトは 500)。

:  この遅延は、画像処理を完了するのに必要な時間によって異なります。例えば、[トリガ間隔] を 5,000 ミリ秒に設定した場合、ジョブが 5,000 ミリ秒以内に画像処理を完了する条件で、In-Sight ビジョンシステムは画像を 5,000 ミリ秒ごとに取り込みます。そうでない場合、In-Sight は、画像処理を終了次第、画像を取り込みます。

露光時間 (µsec): 露光時間をマイクロ秒単位で定義します (0~1,000 µsec、デフォルトは 8 µsec)。In-Sight 5604 がトリガ信号を受信すると、指定された露光時間の間、CCD アレイに光が蓄積されます。

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  • 5604 では、このパラメータは 0 に設定可能ですが、1.33 µsec 以下の値に設定した場合、[露光時間] で定義した時間に関わらず 1.33 µsec の間露光します。

  • 9902L では、このパラメータは 0 に設定可能ですが、2.00 µsec 以下の値に設定した場合、[露光時間] で定義した時間に関わらず 2.00 µsec の間露光します。

ライントリガタイプ: エンコーダタイプを指定します。選択肢は、[ソフトウェアエンコーダ] または [ハードウェアエンコーダ] です。このコントロールを ON にするには、In-Sight 5604 または 9902L に接続する必要があります。このコントロールは、ラインスキャンエミュレータでは OFF になっています。

  • ハードウェアエンコーダ: ライントリガの駆動に [ステップ/ライン] 設定値と外部ハードウェアエンコーダが使用されます。ハードウェアエンコーダは、ターゲットオブジェクトが指定の方向または距離を動くたびに遷移信号を提供し、その位置をデジタル化するデバイスです。In-Sight 5604 および 9902L では、[単位相] および [4 位相] の 2 種類のハードウェアエンコーダをサポートします。この設定は、[ラインスキャンの設定] ダイアログで指定することができます。
  • ソフトウェアエンコーダ (デフォルト): [ライン間隔] 設定で指定した間隔で周期的にライントリガが駆動されます。ソフトウェアエンコーダは、ハードウェアエンコーダのソフトウェアエミュレーションで、指定された周期でラインを取り込みます。この方法はターゲットスピードの変化に対して脆弱で (低周波加速および高周波振動) 、垂直方向の画像に悪影響を及ぼすことがあるため、主に設定およびトラブルシューティングに使用されます。

ライン数: ラインスキャンビジョンシステムからの画像を生成するために取り込む行数を定義します。

  • In-Sight 5604 は、デフォルトで、解像度 1024 × 2048 の標準画像を生成します。幅は、変更できません。高さは、[ラインスキャンの設定] ダイアログの [画像最大高] ドロップダウンを使用して変更することができます。ライン数の値は、1~ [画像最大高] の範囲を使用することができます。
  • In-Sight 9902L は、デフォルトで、解像度 2048 × 4096 の標準画像を生成します。幅および画像最高高は、エンコーダの設定ボタンから開くことができる [ラインスキャンの設定] ダイアログで設定することができます。1K 解像度 (低照明モード) チェックボックスを ON にすると、幅は 1024 に減少し、照明感度が向上します。ライン数の値は、1~ [画像最大高] の範囲を使用することができます。

In-Sight モデル 最大解像度 最小 最大 デフォルト
In-Sight 5604 1024 x 8192 1 8192 2048
In-Sight 9902L 2048 x 16384 1 16384 4096
1024 x 16384
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  • 回転するターゲット画像を取り込む場合、画像トリガミスを防ぐため、[ライン数] は 2 フレーム間のトリガより少ない値としてください。
  • このパラメータは 1 に設定可能ですが、8 以下に設定すると、画像取り込みに失敗します。

ステップ/ライン: [ライントリガタイプ] を [ハードウェアエンコーダ] に設定した場合に、画像ラインごとのエンコーダステップの数を定義します。4 位相ハードウェアエンコーダが使用されている場合、エンコーダ信号が 1 サイクルを完了することを「ステップ」と呼びます。シングルラインハードウェアエンコーダの場合は、1 ステップは 2 回の信号変化に等しく、4 位相ハードウェアエンコーダの場合は 4 回の信号変化に等しくなります。

In-Sight モデル ステップ/ライン
In-Sight 5604 0.250~256.000; デフォルト = 40.000
In-Sight 9902L 0.250~8191.000; デフォルト = 40.000
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  • [ステップ/ライン] の値は、単位相ラインハードウェアエンコーダでは 0.5 ずつ、4 位相ハードウェアエンコーダでは 0.25 ずつ増分してください。
  • 5604 では、ライントリガの欠落を避けるため、[ステップ/ライン] の値を、任意の 2 つのライン間の最短時間が [露光時間] 設定値 (最短 1.33 µs) より 21.47 µs 長くなるように設定する必要があります。
  • 9902L では、ライントリガの欠落を避けるため、[ステップ/ライン] の値を、任意の 2 つのライン間の最短時間が [露光時間] 設定値 より 3 µs 長くなる値か、もしくは 15µsec か、大きい値のほうに設定する必要があります。

ライン間隔 (µsec): [ライントリガタイプ] を [ソフトウェアエンコーダ] に設定した場合に、画像ラインごとの間隔をマイクロ秒単位で定義します。

In-Sight モデル ライン間隔
In-Sight 5604 21.000~1000000.000; デフォルト = 40.000
In-Sight 9902L 21.000~1000000.000; デフォルト = 40.000
In-Sight エミュレータ 10.000~1000000.000; デフォルト = 40.000
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  • 5604 では、ライントリガの欠落を避けるため、[ライン間隔] の値を、任意の 2 つのライン間の最短時間が [露光時間] 設定値 (最短 1.33 µs) より 21.47 µs 長くなるように設定する必要があります。
  • 9902L では、ライントリガの欠落を避けるため、[ライン間隔] の値を、任意の 2 つのライン間の最短時間が [露光時間] 設定値 より 3 µs 長くなる値か、もしくは 15µsec か、大きい値のほうに設定する必要があります。

クリップモード: 画像取り込みトリガを受信したときに指定された数のラインの取り込みが完了していない場合の動作を指定します。

  • クリップングなし (デフォルト): 画像トリガを無視し、「画像取り込みエラー」イベントを生成するように指定します。
  • 黒く塗りつぶし: 残りのラインを黒いピクセルで埋め、新しい画像を即座に開始するように指定します。「画像取り込みエラー」イベントは生成されません
  • ラインスキャンラインの間引き: 現在の画像を現在取り込んだ行数のサイズに縮小し、即座に新しい画像を開始するように指定します。
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  • [黒く塗りつぶし] または [ラインスキャンラインの間引き] が有効な場合:
    • 画像を正しくクリッピングするには、[トリガ] タイプを [カメラ] に設定する必要があります。その他のトリガタイプが設定されている場合、画像取り込み中にトリガを受信すると、現在の画像はクリッピングされず、新たに受信したトリガは無視されます。
    • Set Event ネイティブモードコマンドを送信して画像取り込みをトリガを試みた場合に、画像取り込み中にそのトリガを受信すると、現在の画像はクリッピングされず、新たに受信したトリガは無視されます。
  • 時間に厳密なアプリケーションの場合は [ラインスキャンラインの間引き] オプションを選択します。[黒く塗りつぶし] オプションを使用する場合は、埋める行数は数百行程度までに抑えます。
    • 5604 では、[黒く塗りつぶし] オプションでは、1 行埋めるのに約 2 µs かかります (100 行あたり 0.2 ミリ秒)。
    • 9902L では、[黒く塗りつぶし] オプションでは、1 行埋めるのに約 3 µs かかります (100 行あたり 0.3 ミリ秒)。

画像取り込み期間: [クリップ] モードを [黒く塗りつぶし] または [ラインスキャン] の間引きに設定した場合に、いつ画像取り込みを終了するかを定義します。このオプションは、In-Sight 9902L ビジョンシステムで [トリガ] タイプが [カメラ] に設定されている場合のみサポートされています。

  • 0 = 次のトリガ (デフォルト): トリガパルスの立ち上がりエッジで画像取り込みを開始し、次のトリガ信号開始時に、画像取り込みを終了します。
  • 1 = トリガ終了: トリガパルスの立ち上がりエッジで画像取り込みを開始し、現在のトリガ信号終了時に、画像取り込みを終了します。次の状態のときに、画像取り込み完了となります。
    • 指定の [ライン数] が取り込まれたとき。トリガパルスの後端が到着していない場合でも、完了となります。
    • 指定の [ライン数] を取り込む前に、パルスの後端が到着し画像取り込みが終了したとき。

      :  [トリガ終了] を選択すると、[遅延] パラメータは無効となり、画像取得の際に遅延は適用されません。