InspectEdge

InspectEdge ビジョンツールは次の 2 つのグループのツールで構成されています。

InspectEdge 関数について

InspectEdge ビジョンツールである、InspectEdge、InspectEdgeForDefect、InspectEdgePosition、および InspectEdgeWidth 関数は、詳細なエッジ解析 (エッジの位置、エッジペアの位置と間隔、エッジ幅の測定など) を行って、エッジに欠陥またはギャップが存在するかどうかを判定するために使用します。InspectEdge ビジョンツールは、エッジのピークが検出され、検出されたエッジの偏差 (エッジ内の欠陥やギャップなど) が検査される対象領域 (ROI) 内で、キャリパの配列を使用するエッジまたはエッジペアを探して、画像内の対象物の特徴の正確な位置に関する詳細情報を提供します。

In-Sight ビジョンシステムでは、次の関数を使用して詳細なエッジ解析を実行します。

  • InspectEdge 関数: 詳細なエッジ解析のために、参照されている ROI 内にキャリパ配列を作成します。この関数は、エッジ解析の最初のステップです。
  • InspectEdgeForDefect 関数: エッジモデルからの偏差を検出するために、エッジモデルと得点付け基準を作成し、検出されたエッジから最適な直線または最適円を作成します。
  • InspectEdgePosition 関数:  エッジモデルと得点付け基準を作成し、エッジの位置を判定します。オプションで、検出されたエッジから最適な直線または最適円を作成します。
  • InspectEdgeWidth 関数: エッジペアのエッジモデルと得点付け基準を作成し、エッジペアの幅の差異を判定します。
:  InspectEdgeForDefect、InspectEdgePosition、および InspectEdgeWidth 関数は、InspectEdge 関数によって出力されたデータ構造体を参照する必要があります。

概要

InspectEdge ビジョンツールを使用して詳細なエッジ解析を実行し、対象物のエッジで亀裂、切り目、くぼみ、またはひだなどの偏差を検査します。通常は、これらのツールを使用して、対象物の内側または外側での特徴の正確な位置に関する詳細情報を作成し、これらの特徴に欠陥があるかどうかを調べます。

InspectEdge 関数は、エッジモード方法を使用して画像内のエッジまたはエッジペアを探します。この方法は、1D カーネルを使用して、個別のキャリパ内でエッジピークを検出します。InspectEdgeForDefectInspectEdgePosition、または InspectEdgeWidth 関数を使用してエッジモデルを作成します。これらの関数は、最適なエッジまたはエッジペアを定義し、後続のエッジ候補をエッジモデルと比較して、エッジ候補に欠陥やギャップがあるどうかを判定します。

画像内で対象エッジまたはエッジペアの位置と方向が分かったら、ツールの適用における次のステップを実行します。

  • 対象のエッジまたはエッジペアを囲む ROI とキャリパ、および [キャリパ]、[最小コントラスト]、および [エッジ幅] パラメータ値を指定し、InspectEdge 関数を使用して対象エッジを分離します。
  • InspectEdgeForDefect 関数InspectEdgePosition 関数、または InspectEdgeWidth 関数 を使用して、対象のエッジまたはエッジペアを規定するエッジモデルを定義します。

InspectEdge 関数のエッジ検出

InspectEdge ビジョンツールを使用する最初のステップとして、ツールを適用する画像内の対象領域を指定します。InspectEdge 関数は、ROI で関連するエッジ情報を画像から分離するよう慎重に定義します。

次の方法のいずれかで、画像内のどこでエッジまたはエッジペアを検出する必要があるかを判定するために、ROI を指定します。

  • InspectEdge 関数の [領域] パラメータを使用して、位置、サイズ、角度、曲げ、または回転を定義します。
  • EditMaskedRegion または EditPolylinePath などの外部 ROI を構成します。

ROI を配置するときに、対象エッジが ROI のサーチ方向と平行になるようにして、ROI ができるだけ多くのエッジまたはエッジペアを囲むようにし、さらに不要なノイズを ROI から除外します。

InspectEdge 関数の ROI 内でキャリパ配列を使用して、対象エッジを含んでいる画像の部分の 1D 表現を生成します。この 1D 画像には、対象エッジだけでなく、元の画像のノイズおよび不要な情報が原因で生じたその他のエッジも含まれています。InspectEdge 関数の [キャリパ][エッジ幅]、および [最小コントラスト] パラメータを 1D 画像に適用すると、対象エッジの画像の強度が上がり、同時に画像のノイズが少なくなります。

InspectEdgeForDefect、InspectEdgePosition、または InspectEdgeWidth 関数を使用したエッジモデルの定義

InspectEdge 関数で画像内にエッジを配置したら、InspectEdgeForDefect、InspectEdgePosition、または InspectEdgeWidth 関数を使用して、検査中に表示されるよう求められるエッジのエッジモデルを作成します。画像内のこのようなエッジはエッジ候補と呼ばれ、最適なエッジはエッジモデルと呼ばれます。エッジモデルの作成には、最適なラインのタイプ、検出対象のエッジのタイプ (単一エッジまたはエッジペア)、エッジの遷移、エッジ得点規則、最適ラインの規則、および検査対象の欠陥またはギャップのタイプの定義が含まれます。

InspectEdgeForDefect 関数を使用して、エッジモデルに基づいて最適ラインを作成し、エッジモデルからの偏差について検査します。InspectEdgePosition 関数を使用して、エッジモデルに対するエッジの位置を特定し、モデルからの偏差を報告して、オプションで最適ラインの作成も行います。InspectEdgeWidth 関数を使用して、エッジのペア間の距離における偏差を検査します。

これら 3 つすべての関数では、参照されている InspectEdge 関数が ROI をキャリパの配列に分割すると、それぞれのキャリパが評価され、その内部のエッジが得点付けされて、どのエッジを選択するかを決定します。位置欠陥については、検出されたそれぞれのエッジに基づいてラインをフィットさせ、検出されたエッジと最適ラインとを、許容値を超える差異に関して比較することで、欠陥を特定します。幅欠陥については、キャリパ内で検出された 2 つのエッジ間の距離を計算してそれらの距離を判定し、その距離と予測される範囲とを比較することで、欠陥を特定します。

結果の評価

エッジモデルと十分に一致することができなかった画像内の各エッジパターン候補に対して、関数は、指定されている場合には次の情報を返すことができます。

  • 最適ラインを基準にした、エッジパターン候補の位置
  • エッジパターン候補で検出された欠陥またはギャップのサイズ、領域、および位置

さらに、関連するその他の InspectEdge データアクセス関数を使用すると、InspectEdge ビジョンツールで生成されたデータに関して独自の処理と解析を実行するための追加情報を取集することができます。

BeadFind および BeadInspect 関数について

ビードとは、インクや糊のついている部分や溶接の継ぎ目のことで、その幅やカバレージ、および位置によって定義されます。一般に、ビードパスは連続するエッジのペアで、異なるピクセル値を持つ 2 つの領域間の境界を定義します (このパスは必ずしもループではありません)。

BeadFind および BeadInspect 関数を使用して、ビードの追跡と検査を行い、ビードパスが同じ位置および均一なパターンの同じ幅で、一貫して同じ位置に配置されているかどうかを検証し、ビードパスで欠落した材料がないか、見つけます。

BeadFind および BeadInspect 関数を使用して、次のタイプのビードの欠陥を検出することができます。

  • 存在しないビード
  • ビードのギャップ
  • ビードの位置偏差
  • ビードの幅欠陥
  • ビードのカバレージ欠陥

In-Sight ビジョンシステムでは、次の関数を使用して詳細なビード解析を実行します。

  • BeadFind 関数: ビードパス候補の検出、選択したビードパスの編集と登録を行う簡単な方法をユーザに提供します。登録されたビードパスは、BeadInspect の入力パラメータとして使用されます。
  • BeadInspect 関数: BeadFind 関数の結果に基づいて、ビードの登録基準および測定ルールを精緻化して、ビードに位置欠陥、幅欠陥、またはギャップがあるかどうかを調べます。BeadInspect 関数は、BeadFind 関数によって出力されたデータ構造体を参照する必要があります。
BeadFind 関数と BeadInspect 関数の使用方法の詳細については、「BeadFind 関数と BeadInspect 関数の使用」を参照してください。
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  • BeadFind および BeadInspect 関数は、In-Sight ファームウェア 5.5.0 以降を搭載している In-Sight ビジョンシステムでのみ使用可能です。モデル一覧およびサポートされているファームウェアバージョンについては、ファームウェアのバージョンをご参照ください。 モデル一覧およびサポートされているファームウェアバージョンについては、ファームウェアバージョンをご参照ください。
  • BeadFind 関数と BeadInspect 関数はカラー画像をサポートしていません。カラー画像がロードされると、自動的にグレースケール画像に変換されます。