#ERR

#ERR の意味

#ERR を表示するセルは、そのセルが関数を正常に実行できなかったことを示しています。一般的には、無効な入力パラメータが原因です。  #ERR 状態は、ビジョンアプリケーションの通常の操作によって発生することもあれば、スプレッドシートの論理そのものに含まれるエラーによって発生することもあり、さまざまなことが要因となります。  一般に、次の場合に #ERR が発生します。

  1. 算術演算の基本的なエラー

    セル A4 = A3/A2 で、セル A2 が 0 の場合、セル A4 の関数は「ゼロによる除算」エラーを生成します。

  2. 領域グラフィックスエラー:  領域が画像の範囲外へ移動

    PatFind などの位置決めツールを使用して、ほかのビジョンツールの位置をフィクスチャするとき、ビジョンツールの領域の一部が画像の範囲外に出てしまうことがあります。  この場合、ビジョンツールは、ビジョンツールの有効な結果構造体を返さずに #ERR を報告します。

  3. 「Get」関数のエラー:  ビジョンツールが結果を生成しない  

    ExtractBlobs ツールとともに GetRow 関数を使用する場合、状況によっては、ExtractBlobs ツールで予想される数のブロブを確認できないことがあります。  このような状況で画像から目的のブロブを検出できなかった場合、GetRow 関数は #ERR を報告します。

  4. 通信エラー:  データを送信できない

    WriteImageFTP セルや WriteDevice セルは、スプレッドシートが実行されるたびに、データを In-Sight センサから別のコンピュータに自動的に送信します。  クライアントコンピュータで問題が発生し、データを受信できない場合、In-Sight センサの出力バッファがいっぱいになることがあります。  出力バッファのオーバフロー (データを格納できない状態) が発生すると、これらのセルは #ERR を報告します。

#ERR セルのトラブルシューティングの方法

ほとんどの #ERR 状態はエラー文字列を返します。エラー文字列が生成されている場合、#ERR を含むセルにマウスを合わせると、エラー文字列が表示されます。また、赤い感嘆符 () がプロパティシートに表示された場合は、その赤い感嘆符にマウスを合わせるとエラー文字列が表示されます。エラー文字列をスプレッドシート上で取得するには、GetErrorString 関数を使用します。各エラー文字列には個別の診断コード番号が割り当てられています。診断コードは、GetErrorCode 関数で取得できます。最もよく返されるエラー文字列を確認するには、閉じたここをクリックしてください。

汎用エラー文字列

診断コード 対応する情報文字列
00000000 システムエラーです。
00000001 メモリ不足のため、操作を完了できません。
00000003 入力した引数が間違っています。     
00000004 入力した引数は範囲外です。
00000005 入力した引数の型は互換性がありません。
00000009 前のセルでジョブがタイムアウトしたため、セルは実行されませんでした。

汎用ビジョンツールのエラー文字列

診断コード 対応する情報文字列
00010000 ビジョンツールエラーです。
00010001 無効な画像メモリです。
00010001 入力した領域が小さすぎます。
00010002 入力した領域が画像境界を超えています。

ReadIDCode 関数のエラー文字列

診断コード 対応する情報文字列
00019000 IDMax ビジョン処理エラーです。
04010000 ReadCompositeCode エラーです。
04010001 2D コンポーネントアドレスパターンを検出できません。
04010002 無効な 2D コンポーネント画像データが多すぎます。
04010003 2D コンポーネントシンボルバージョンを検出できません。
04010004 欠落している 2D コンポーネントアドレスパターンを埋めることができません。
04010005 スキャンラインが無効な画像データを検出しました。
04010006 スキャンラインが画像境界を超えています。
04010007 1D コンポーネントファインダパターンを検出できません。
04010008 無効な 1D コンポーネント画像データが多すぎます。
04010009 有効なシンボルが見つかりません。
04010010 訂正の必要なシンボルエラーが多すぎます。
04010011 誤り訂正に失敗しました。
04010012 1D と 2D がデコード可能ですが、関連付けられていません。
04010013 自動コントラストしきい値計算に失敗しました。
04010014 コントラスト感度が許容範囲を超えています。
04010015 スキャンパラメータが許容範囲を超えています。
04020000 ReadIDCode エラーです。
04020001 有効なシンボルが見つかりません。
04020002 シンボルをデコードできませんでした。
04030001 シンボルが検出されましたが、デコードできませんでした。
04030002 シンボルが検出されなかったか、デコードされませんでした。
04030003 ReadIDCode 操作がタイムアウトになりました。
04030004 デコードを試みているときに、センサがメモリ不足になりました。
04030005 ReadIDCode が予期せずに失敗しました。
04030006 VerifyIDCode に無効な ReadIDCode セル参照があります。
04030007 ReadIDCode に無効な画像セル参照があります。
04030008 [アルゴリズム] チェックボックスが ON のときには、No-Read 診断はデータマトリックスまたは QR コードについてのみサポートされます。
04030009 ReadIDCode プロパティシートの [アルゴリズム] チェックボックスがオンになっていません。

VerifyIDCode 関数および ValidateIDCode 関数のエラー文字列

診断コード 対応する情報文字列
04040001 シンボルの識別子エラー。
04040002 パターンマッチに失敗しました。
04040003 無効なフィールド識別子です。
04040004 無効なアプリケーション識別子 (AI) です。
04040005 無効なデータ識別子 (DI) です。
04040006 無効なテキスト要素識別子 (TEI) です。
04040007 無効なフィールドデータです。
04040008 無効なフィールドセパレータです。
04040009 データは ISO 15434 準拠ではありません。
04040010 サポートされないフォーマットです。
04040011 無効なフォーマットコードです。
04040012 ISO 15434 シンタックスは、このコードではサポートされません。
04040013 フィールドは、このアプリケーションでは無効です。
04040014 アプリケーションフィールドはサポートされていません。
04040015 無効なアプリケーションデータです。
04040016 複数のフォーマットが存在します。
04040017 重複するフィールドがあります。
04040018 無効な DoD UID コンストラクト #1 データです。
04040019 無効な DoD UID コンストラクト #2 データです。
04040020 無効な DoD UID データです。
04040021 フォーマットトレーラ文字が欠落しています。
04040022 メッセージトレーラ文字が欠落しています。

ImportData/ExportData 関数のエラー文字列

診断コード 対応する情報文字列
05030000 ファイル名がありません。
05030001 ユーザ名がありません。
05030002 ファイルタイプが .CXD ではありません。
05030003 ファイル名が長すぎます。
05030004 メモリ割り当てエラーです。
05030006 ローカルフラッシュメモリがエクスポート先として指定された場合、AcquireImageExportData のイベントにすることはできません。
05030007 サポートされないデータタイプです。
05030008 データがファイルにありません。
05030009 データ解析エラーです。
05030010 サポートされないデータタイプです。
05030011 ファイル操作エラーです。

PatMax の情報およびエラー文字列

診断コード 対応する情報文字列
07010000 パターンに含まれるマッチ特徴が少なすぎることがあります。
07010001 特徴の粒度を自動的に設定するのは困難です。
07010100 手動で [粒度] を設定してください。登録画像の表示がぼやけているので、パターンが予想より正確でないことがあります。
07010102 疎粒度の特徴が同じ方向であるために、パターン結果が不安定になることがあります。
07010200 高精度な特徴が多いため、実行時間が長くなることがあります。手動で [粒度] を設定してください。    
07010101 パターンに含まれる情報が不十分なため、角度またはスケールを正確に測定できないことがあります。
07020300  コントラストが低いため、結果は破棄されました。
07020301  より正確な結果を得るため、結果は破棄されました。
07020302  クラッタが多すぎるため、結果は破棄されました。
07020303 現在のパラメータ設定に対して、登録パターンに含まれる特徴が少なすぎます。
07030000 エラー情報はありません。

汎用エラー文字列

診断コード 対応する情報文字列
09990100 対応付けデータのサイズはゼロです。
09990101 ビューで指定したポイントが 9 未満です。
09990102 無限にマップします。
09990103 無効なポイント構成です。
09990104 固有パラメータの検索に失敗しました。
09990500 内部 CalibrateGrid エラーです。

ComputeStats 関数のエラー文字列

診断コード 対応する情報文字列
03040700 関数の入力値が無効です。

畳み込みフィルタのエラー文字列

診断コード 対応する情報文字列
03210002 行と列の数は 1 ~ 10 の範囲でなければなりません。
03210004 カーネル値は -9999 ~ 9999 の範囲でなければなりません。
:  #ERR に対応するエラー文字列がない場合、GetErrorCode 関数は -1 を返します。

エラー文字列を返さない #ERR については、エラーとなっているセル関数の各パラメータを調べることによって、#ERR の原因を究明することができます。  数式内のセル参照を調べて、それらの値を確認してください。  複雑なジョブの場合は、いくつかの参照や入れ子型の参照を追跡する必要が生じる場合もあります。

画像取り込み関数の一部の機能 (部分取り込み、照明制御など) は、エミュレータではサポートされていません。In-Sight センサ上でこれらの機能を使用したジョブを作成し、そのジョブをエミュレータにロードすることは可能ですが、このとき、セル A0 の AcquireImage 関数が #ERR を報告することがあります。

#ERR を無視してエラーの拡散を防止する方法

ExtractBlobs ツールにより検出された複数のブロブの合計面積を計算するケースを考えて見ましょう。GetArea 関数を使用して、ブロブ構造体から個々のブロブの面積を取得します。  ブロブが検出されないと、GetArea 関数は正常に実行されませんが、アプリケーションでは正常な状況である場合があります。

セル

関数

説明

A1

ExtractBlobs([パラメータ])

ブロブを抽出して、ブロブ構造体を返します。

B1

GetArea(A1,0)

ブロブ 0 の面積を返します。

B2

GetArea(A1,1)

ブロブ 1 の面積を返します。

B3

GetArea(A1,2)

ブロブ 2 の面積を返します。

B4

Sum(B1:B3)

ブロブの総面積を計算します。

ExtractBlobs 関数が 3 つ以上のブロブを検出できないと、1 つ以上の GetArea セルが #ERR を報告するために、数式 Sum(B1:B3) は、#ERR を報告します。このエラー状態を無視するには、次の ErrFree 関数を使用します。

B4

Sum(ErrFree(B1:B3))

ブロブの総面積を計算します。

ErrFree 関数を使用すると #ERR が 0 に置き換えられます。したがって、この Sum の入力パラメータに含まれる #ERR の値はすべて 0 として処理されます。